株式会社アン 代表取締役インタビュー

株式会社アン 代表取締役インタビュー

「美容師になろう!」の目的は人材が集まり育ち永く活躍できる美容業界にする事。そして、表面的な華やかさだけではなく、仕事の本質を大切に理念経営に取り組む企業が増えてきました。時代とともに「物」から「思い」へ価値観が変化した事の現れでもあると思います。「変わる!美容業界」と銘打ったこの特集。

今年(2018年)で創業30年目を迎える株式会社アンは南大阪の堺市、岸和田市、貝塚市を中心に9店舗展開するサロン。
会社の強みは「人材育成」と言い「人間味あふれる最高のおもてなしを提供できる人づくり」を教育理念に掲げています。

株式会社アン 代表取締役 築林 篤司氏高い生産性を目指して 人に優しく強い会社を作る1962年奈良県生まれ。
ル・クレエ橿原美容専門学校卒。中学時代、教師になろうと思っていたが美容師の母親の背中を見て育ち美容師の道へ進む。
サロン勤務を経て1989年26歳で独立。
妻とスタッフ2名、合計4名で美容室annをオープン。
2018年で創業30年。
現在南大阪の堺市、岸和田市、貝塚市を中心に10店舗展開している。
おもてなし教育に定評があり、経済産業省主催「平成26年度おもてなし経営企業選」に選出されている。

平成元年スタッフ4人で創業平成元年スタッフ4人で創業美容師だった母に女手ひとつで育てられ貧しい子供時代を過ごしました。中学生の頃は学校の先生になりたいという希望がありましたが、母の背中を見て育ち美容の道へ進みました。

母を楽にさせてあげたい、そんな思いでした。

奈良の美容学校を卒業して大阪で働き26歳で妻とスタッフ2人合計4人で美容室アンを創業しました。
思えば経営の事を勉強した事もなく、無計画な独立で最初の2年間は苦戦を強いられました。

打開策として木・金はナイター営業を行い手作りのチラシをまいてがむしゃらに頑張りました。

当時、ウチのサロンの強みは何だろうとお客様に聞いてみました。
「活気があって楽しそう」と言われ、接客が良いという利点を生かして何かできないかと考えました。

そして某メーカーさんの助言で商品販売に力を入れるようになりました。

ウデは技術ですが、トークで商品を販売できます。この結果、売上げが伸び軌道に乗せる事ができました。

美容室のディズニーランドを創ろう!平成7年から経営の勉強に力を入れました。
その時の先生に「アンさんには理念がない」と指摘され、理念について真剣に考えるようになりました。
当時2店舗、スタッフは約15名。

採用も厳しく更に成長するにはどうしたら良いか考えている所でした。
自分はどんなサロンを作りたいのか、どうして行きたいのか、毎日理念について考えました。

するとある日「美容室のディズニーランドを創ろう!」とひらめいたのです。
そして、ディズニー関連の書式を読み漁りました。

皆さんも良くご存知のディズニーランドはお客様はもちろん、そこで働くスタッフも笑顔で生き生き働いています。
そしてお客様はまた来たい!と思います。
私はこんなサロンが作れたら素敵だなと思い、社員の賛同を得て営業ビジョンとしました。

また、それまでのアンは上の世代のお客様が多かったのですが、当時、今から20年以上前ですから人口のボリュームゾーンの団塊ジュニア世代が若く、若者をターゲットのサロンに一気に作り変えました。

ヤングターゲットとディズニーランドというコンセプトが効き一気に成長して行きました。

失敗から訪れた転機その後美容バブルも起こり大型店ブーム。当社もそのブームに乗り50坪の大型店舗を出店し採用も順調。平成8年~12年で1億2千万あった売上が3億6千万、3倍に伸びました。店舗も5店舗、スタッフは50名になっていました。

ところが、私は実力以上の事をしてしまった為大変な事が起きました。
2001年50名中、20名辞めるというショックな出来事がありました。

バブル崩壊後、深刻な不況の時代に入り今までとは明らかに違う時代の変化を感じとっていました。
その時の私はサロンワークもしていましたので教育の事は店長任せ。辞めた20名の理由もわからない。

当たり前ですよね、何もコミュニケーションを取っていなかったのですから・・。
私は忙しいのにかまけてスタッフと向き合う事から逃げていました。
これではダメだと思い、私は2002年ハサミを置き、経営に専念する事にしました。

そこからです。私は、そして会社は180度変わりました。

人材育成が一番の経営課題人材育成が一番の経営課題それまで二の次、三の次だった人材育成を一番メインに取り組むようにしました。
経営理念の勉強も改めて始めました。
それから15年経ちます。

お蔭様で会社は成長し、人材も定着し経営も安定して来ました。

今年で創業30年になるのですが、思えば、初めの10年はあまり楽しくなかった。
生活の為働いていました。

ハサミを置いてからの方が充実感があります。
働く目的が変わりました。人材教育が最優先。

学校の先生になりたかった頃の自分と年月を経てうまくリンクしました。
「人間味あふれる最高のおもてなしを提供できる人づくり」という教育理念を作りました。

人間味とは人間らしさの事です。では人間らしさとは何か?

それは、今日よりも明日、明日よりもあさってと良くなって行きたい!人のお役に立ちたい!仲間と力を合わせたい!そういう人間にしかない、人間らしさを追求していこうと思います。

「成長・貢献・協働」また「成長・貢献・協働」という人事理念を作りました。
全ての人材育成プログラムの中にこの考え方を盛り込んでいます。

例えば当社は商品販売が強いのですが、商品をお客様に説明しようと思うと不安を乗り越えなければならない。

美容師さんは受け身の仕事が多く、営業の方のように自らお客様にアプローチする力が弱い。
そこを変えて行くには成長意欲が必要。
そしてお客様のことを思わないと商品をご提案できない。
それはお客様の美意識向上に貢献する事でもあり、個人プレーではなくチームワークも求められます。

提案力がキーポイントで、会社にもどんどん提案して頂く風土を作りたいと考え「対話集会」を開催しています。
全社員が対象です。
私を囲んで8人を12回。7時半~10時半の3時間月1回開催します。

今年2回目の対話集会では「トレンドに弱いのでトレンドに強くなってはどうか」と提案してきた2年目の社員に対し、「トレンドプロジェクトやってや!」を話しました。

私は社員が言いやすく風通しの良い組織にしたい。
なるべくトップダウンを無くそうとしています。

長く働ける会社作りマーケットを見ても長く働いて頂く事は必然です。

日本人の平均年齢が46歳の今、大人女性に満足頂く為には大人美容師が必要です。
そういう事を踏まえ、女性が働く仕組み作りは10年前から構想し、4~5年前から実施しています。
今産休者が6名おりますが、当社は人材育成力が強く販売力がありますから、勤務時間が短くても売り上げを上げるスキルがあります。
女性が一生働く仕組みでうまくいかないのはそこなんです。
復帰後も短時間でしっかり収入を得られるような教育が大事なのです。

男性にはマネージメント力を付けて頂き経営幹部になるか独立支援でFCオーナーとして活躍できるプランを用意しています。

これからの美容業界これからの美容業界発展のカギは生産性のアップだと思います。

当社では1年目の社員から全社員に生産性と給料の関係を公表し、平均年収380万円を目指しています。
社員にしっかり給料を支払える業界になる事が大事なのです。

目的は優しい会社をつくる事、しかし、その為には強い会社を作らなければならないのです。
人材育成も同じです。優しい人を育成したい。しかし、強さがないとダメなのです。

多店舗化が目的ではなく、手段です。目標とする生産性に近づくためには統合もあるかもしれません。

「より美しくを通じて笑顔の輪を広げたい」という経営理念の下、お客様、スタッフ、関係業者様、関わる全員が幸せになり、物心両面より美しく、精神的なやりがいと収入を得て生涯働ける会社を作って行きたいと思います。

本社連絡先本社株式会社アン
〒591-8037
大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町3-138-1
TEL: 072-255-8002
http://www.annweb.co.jp/

中学生の頃、教師を目指されていた事もあり教育に大変情熱を注がれています。
インタビューさせて頂いた会議室の壁にはスタッフ全員の写真が飾られていて、スタッフ愛を感じられこういう会社で働ける皆さんは幸せだなあと思いました。
(「美容師になろう!」編集長/荒井由美)

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