株式会社ケンジ 社長インタビュー

株式会社ケンジ 社長インタビュー

「美容師になろう!」の目的は人材が集まり育ち永く活躍できる美容業界にする事。そして、表面的な華やかさだけではなく、仕事の本質を大切に理念経営に取り組む企業が増えてきました。時代とともに「物」から「思い」へ価値観が変化した事の現れでもあると思います。「変わる!美容業界」と銘打ったこの特集。

2018年で47年目を迎えるケンジグループ。
全国から集まった1200名のスタッフが様々なことに挑戦しているサロンです。
座右の銘「わんぱくでもいいたくましく育ってほしい」をもって挑戦し続けるケンジグループの中核企業、株式会社ケンジ西山和平社長のお話を紹介させていただきます。

株式会社ケンジ 代表取締役社長 西山 和平氏「生涯美容師として働ける環境作り」1972年4月10日生まれ。和歌山県出身。高山美容専門学校卒。1991年、株式会社ケンジに入社。入社4年目で店長に抜擢。グループの店長を統括する総リーダーを経て、2013年11月より株式会社ケンジ代表取締役社長に就任。

「いつまでも同じ目線でいたい」という想いから、現在も土日のみヘアアーティストとして活躍。「どんな人間でも可能性がある」ことを自ら伝えたいと新人研修は西山氏が担当する。創立46年、のれんわけFC制度を採用し、神奈川、東京に105店舗を展開。 現在はオーナー45名、全国から集まったスタッフは1,200名。5年後は100法人を目指す。

「Make Happy」Make Happyもともと当社には「自立」という理念がありました。仲間を家族のように思い、親として子であるスタッフに自立してほしいという願いから、先代である本多が掲げた理念です。

しかし、私が代表になる時に本多から「社長が変わるのだから理念も独自のものにして良い」と一言われ、理念を考える際にポイントになったのが相手のために何ができるのか」ということでした。

地域の人に貢献できること、仲間と一緒にやっていくこと、お客様を幸せにしていくこと、『Make Happy』は造語ですが、幸せを作りたい、幸せをみんなで作っていこうという想いが込められています。 根本にあるのは自立ですがその上に『Make Happy』があり、ここから地域·お客様·仲間に向けていきたいというメッセージです。

一流企業から美容業界の経営者へ私は前社長の永井氏より事業拡大を任され2010年UNIXの社長に就任しました。 前職は美容業界とは縁遠い日本航空でした。
私が美容業界に身を投じて感じた事はまず「人の役に立てる仕事」だという事です。また、とても奥が深く、一生をかけて取り組む価値のある素晴らしい仕事だと感じました。

そこで、クルー全員が活き活きと活躍できるためにはどのようにしたら良いかと考えました。美容の仕事に限らず、人は何らかの使命を持ちこの世に生を受けます。そういう意識を深め、自信やプライドを持って働くことで仕事はもっと楽しくなり、周りを喜ばせることができ、社会にも貢献できます。

そのために必要な事は「自己有用感」(自分の属する集団の中で、自分がどれだけ大切な存在であるか、人様のお役に立っているかという事を自分自身で認識すること)を持ち、高めるということです。
自分で納得できる誇りを得られるまでには時間がかかりますが、本人が仕事に対するプライドを持たないとお客様にも失礼にあたります。当社では、クルーの教育や日々の仕事を通じて美容の仕事に誇りを持ち、社会に貢献する意識が持てる様、あらゆる環境を整えています。

繁盛店を作ることが地域に貢献すること地域貢献と言っても地域で繁盛すればそれでいいというわけではありません。当社は地域を限定して周辺に店舗を運営するドミナント戦略を展開しています。活躍したスタッフが近くに新しい店舗を作り、お客様ごとそのお店に持っていくことを基本としています。

極端な例ですが、薬はネット通販で買うのではなく近所の薬局で買うなど、自分たちが生活しているその地域で「少しでも繋がりを作ろう」といった人とのつながりを大事にしています。

他社が真似できないフランチャイズ展開他社が真似できないフランチャイズ展開クルーとのコミニュケーションは欠かせません。クルー全員の顔と名前、誕生日は覚えています。懇親会などは業務時間外になりますが、基本的にクルーの教育は業務時間内に行います。当社の教育は技術的な事ももちろんですが、理念や行動規範に関するものが多いです。

当社の規模ですと、私が毎日現場へ行って直接指導するわけにはいきません。サービスの質を一定のレベルに保つためにも私の考え方や経営理念を体現してくれる為の教育は欠かせません。また時代に合わせプログラムを変えています。

当社のクルーへ伝えるべき事は「ハンドブック」に全てまとめて書いてあります。そのいくつかを紹介しますと、「微差は大差」(小さなことでもバカにせずやり続ける事により大きな差を生む)・「雑用を芸術的に仕上げて下さい」「人間の幸せとは、人に愛されること、褒められること、役に立つこと、必要とされること」など。

これらの言葉は自分の体験に基づくものや学んだものですが、ハンドブックの最後のページに書いてある「顧客の常識は常に正しい」これに関しては毎日のように言っています。「顧客の認識」=「お客様がどう感じたか」の部分が大事です。我々はサービス業ですからそのお客様の感じ方に合わせていかないといけません。

一生安心して働ける企業を目指すFC展開は「自立」の延長線上にあります。FCをどんどん作って組織を大きくしていこうということではなく、人として「自立」をしていった結果が今のFCです。実は当社のFCでは、ケンジに属していた一言わば「生え抜き」の人間しかFCオーナーになれない仕組みになっています。一人ひとりFCとして自立できる強いFCになろうというのが理念にあり、「当社で育って成長してFCをやってみたい」といった感じです。

昔の美容業界であれば「自分で全てやりたい」という方も多かったのですが、それでは孤立してしまうし教育面でも不安があります。当社では、しっかりとした教育の元で育成していますし、それを周囲も見ています。こういった安心感があるからこそ寄り添っていられるわけです。

先人が創ってきたベースが「一人ひとり自立できる強いFC」というところにあるのだと思います。これは、美容業界の歴史そのものの位置に立っているからこそできることです。会社によっては「本体が儲からないと嫌」という経営者もいますが、当社は本体を守ることはもちろん、「win-winの関係」FCと本部できちんと五分五分の関係を取ることをしています。

「更にみんなが良くなるためにできることは何か」を常に考えており、FCオーナー会を毎週行い情報交換をしています。 現在本部も含めて50人近くの会になっていますが、5年後くらいには100法人を目指しています。

教育のスタートは「どんな美容師になりたいか」を聞くことからケンジグループには毎年200名ほどの新人が入社します。今年はどんなタイプの新入社員が多いのか、昨年度の新入社員にアンケートをとって意見を取り入れながら、年によって教育システムを変えています。

今の時代、こちらからある程度合わせることが大事です。 全部のカリキュラムを作成してトレーニングとすることよりも、まずはどんな美容師になりたいのかを明確に聞くことから始め、人間性、適材適所を考慮して、どの道に進むのが適しているのか「バリバリ短時間で詰めてやっていく」のか、「基礎をしっかり学んでやっていきたいタイプ」なのか等を見極め、可能性を広げてあげたいと思っています。

スタイリストデビューできるまでに2から3年となっていますが、技術職ですからもちろん個人差はあります。ただ、早いから偉い、なかなかデビューできないからダメということではありません。重要なのは「技術ができる=美容師」とならないこと。根本は人間的な部分が育っていかないといけないと思っています。

いくら技術が上手で試験に受かったとしても、売れない美容師は売れないので、その考え方をしっかり教えたいと思っています。この考え方が身につくよう、月1回のペースで人としての成長を目的とした「フィロソフィー教育」を行っています。これは2年目、3年目の社歴が浅いスタッフから店長クラスまで、必ず行っています。

ママさん美容師の活躍ママさん美容師の活躍今まで頑張ってきたスタッフに対して、結婚、妊娠、子供がいるから働くことができないということに疑問を感じていました。私は、女性がもっと活躍できる、要は女性の社交場のような感覚でやっていくのが望ましいと思っています。

私がFCにいた頃の10年前、もう一度女性が働ける環境を作りたいという想いから女性専用サロンをOPENしました。女性専用なのでスタッフも女性です。「産休、育休にあまり理解がなく復帰しづらい」という意見を多く聞いていたこともあり、女性同士の方が理解が高いという考えもありました。周りが理解する環境でなければならないのに、そうなっていないことが問題で、受け入れ側が体制を変えないといけないと思っています。

例えば1時間でも2時間でも来てスタッフの相談に乗ったり、居てくれることでお客様へ安心感を与えたりと、とにかく居てくれることが何よりの貢献なのです。

生涯美容師として活躍する時代へ当社にいるスタッフは日本全国から集まっています。地元に帰って出店したいということも今後はあると思います。これまでは、その地域に行ったときに立ち寄ったりはしたものの「そうか!頑張れよ!」だけで終わっていました。これからは組織の一人として情報を共有し、ケンジに遊びに来てくれた時には気軽に寄れる、そんな環境を作っていきたいです。

少し離れた場所でフレンドシップサロンを展開し、仲間を増やし、双方で求人を出すことでその地域で活躍できるようにするなど様々な可能性を考えています。生産性と給与は、ある種イコールの関係です。2年間学んで国家資格まで持っているにも関わらず、最低賃金で雇用するということは普通ではないと思っています。美容師としての地位向上のためにも、適正な給与にするためにはどのくらいの生産性を上げる必要があるということをFCオーナーには提言し、これからは一般企業と同じ水準に給与を上げていくことを考えています。

人工知能が出てきて、カラーリングは機械の登場があるかもしれませんが、カットは別だと思っています。そう考えると、美容師は可能性の大きい仕事ですし、サロン自体がなくなったとしても、手に職があることがどれだけ強いかがわかると思います。 これからは生涯美容師として活躍できる時代になっていくので、美容師の地位向上を目指しています。

本社本社〒251-0024
神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-5 KGビル
TEL: 0466-26-0309
https://www.kenji-group.co.jp/

取材はケンジグループ本社の地下にある社員の憩いのスペースで行いました。
バーカウンターも備えられとってもお洒落で羨ましい空間。
蝶ネクタイがトレードマークの西山社長の雰囲気にとてもマッチしていらっしゃいました。
(「美容師になろう!」編集長/荒井由美)

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