株式会社ユニックス 代表取締役インタビュー

株式会社ユニックス 代表取締役インタビュー

「美容師になろう!」の目的は人材が集まり育ち永く活躍できる美容業界にする事。そして、表面的な華やかさだけではなく、仕事の本質を大切に理念経営に取り組む企業が増えてきました。時代とともに「物」から「思い」へ価値観が変化した事の現れでもあると思います。「変わる!美容業界」と銘打ったこの特集。

埼玉、東京、千葉、神奈川に展開する美生活総合事業を手がける企業。日本航空でのビジネス経験やハーバード経営大学院で学んだ経営学等、多彩なキャリアで会社をけん引し美容業界の新たな価値観を創造し先端を走る株式会社ユニックス森社長のお話を紹介させて頂きます。

株式会社ユニックス 代表取締役 森 俊雅氏「美容の仕事を通じて社会貢献する企業作り」美容の仕事を通じて社会貢献する企業作り1957年7月北海道生まれ。上智大学外国語学部卒。ハーバード経営大学院修了後入社した日本航空では、現業サービス部門と海外駐在経験後、本社・子会社・官庁で様々なマネジメント業務に従事し、29年超の勤務を経て退職。

2010年7月より1都3県に30店舗を展開する美生活総合事業会社ユニックスのCEOとして経営に当たる傍ら、サービス産業のマネジメントを講じる。サロン生産性を改善する取組みを取り入れるなど、経営手腕を発揮し同社を高収益企業に生まれ変わらせ成長を続けている。美容業界の水準からみると明らかに高い平均賃金や手厚い福利厚生で社会的地位の向上を目指す。上場を視野に入れる美容業界内外から注目の経営者。

Beauty Innovation当社の使命は「美しくありたい」という人の想いを叶えるため、時代の変化・環境の変化に即応しつつ自己革新を最大の美徳として最高のパーソナルサービスを提供します。それを称して「Beauty Innovation」とし、ひとつの価値観でなく多様性をエンカレッジする会社になりたいと考えます。

また当社では社員の事をクルーと呼んでいます。クルーとは船や飛行機の乗務員のように運命を共にする者という想いを込めた呼称ですので、以下、社員をクルーと呼ばせて頂きます。

一流企業から美容業界の経営者へ私は前社長の永井氏より事業拡大を任され2010年UNIXの社長に就任しました。 前職は美容業界とは縁遠い日本航空でした。
私が美容業界に身を投じて感じた事はまず「人の役に立てる仕事」だという事です。また、とても奥が深く、一生をかけて取り組む価値のある素晴らしい仕事だと感じました。

そこで、クルー全員が活き活きと活躍できるためにはどのようにしたら良いかと考えました。美容の仕事に限らず、人は何らかの使命を持ちこの世に生を受けます。そういう意識を深め、自信やプライドを持って働くことで仕事はもっと楽しくなり、周りを喜ばせることができ、社会にも貢献できます。

そのために必要な事は「自己有用感」(自分の属する集団の中で、自分がどれだけ大切な存在であるか、人様のお役に立っているかという事を自分自身で認識すること)を持ち、高めるということです。
自分で納得できる誇りを得られるまでには時間がかかりますが、本人が仕事に対するプライドを持たないとお客様にも失礼にあたります。当社では、クルーの教育や日々の仕事を通じて美容の仕事に誇りを持ち、社会に貢献する意識が持てる様、あらゆる環境を整えています。

自己有用感を高める社員教育クルーとのコミニュケーションは欠かせません。クルー全員の顔と名前、誕生日は覚えています。懇親会などは業務時間外になりますが、基本的にクルーの教育は業務時間内に行います。当社の教育は技術的な事ももちろんですが、理念や行動規範に関するものが多いです。

当社の規模ですと、私が毎日現場へ行って直接指導するわけにはいきません。サービスの質を一定のレベルに保つためにも私の考え方や経営理念を体現してくれる為の教育は欠かせません。また時代に合わせプログラムを変えています。

当社のクルーへ伝えるべき事は「ハンドブック」に全てまとめて書いてあります。そのいくつかを紹介しますと、「微差は大差」(小さなことでもバカにせずやり続ける事により大きな差を生む)・「雑用を芸術的に仕上げて下さい」「人間の幸せとは、人に愛されること、褒められること、役に立つこと、必要とされること」など。

これらの言葉は自分の体験に基づくものや学んだものですが、ハンドブックの最後のページに書いてある「顧客の常識は常に正しい」これに関しては毎日のように言っています。「顧客の認識」=「お客様がどう感じたか」の部分が大事です。我々はサービス業ですからそのお客様の感じ方に合わせていかないといけません。

一生安心して働ける企業を目指すUNIXでは一生のキャリアデザインが描ける会社を目指し着々と整備を進めています。例えば飲食業界を見ると一生ホテルに勤める人もいる一方で30年間天ぷら屋さんで勤めた後自分の店を出し成功する人もいます。美容業界の場合も一生努めることができる、あるいは何十年か勤めたあとに独立して成功できる、そういうキャリアデザインが有っても良いのではないかと思います。

残念な事に、独立した場合、美容師という職業が技術職の為、どうしても財務的な知識に乏しく、どんぶり勘定経営で1店舗はまだしも2店舗以上になると上手く経営できていないオーナーが多いと一般的に言われています。これからの時代は少子高齢化、人口減少社会ですから、人財確保や顧客確保において厳しくなることは目に見えています。
そのような時代であるという事を踏まえ、経営やマーケティングを早いうちからしっかり学ぶことが必要です。

私がUNIXに来て大きくかわったことに経営の透明化があげられます。すべてオープンです。例えば私の給料や交際費をクルーは知る事ができます。一部上場企業では役員の給料は社員全員が知り、仕事に見合う給料なのかどうか、活躍しているかどうか、社員が監視しています。ですから、経営の透明化は当然の事なのです。経営の話は1年目のクルーにもします。赤字になったら純資産が減るなど、当たり前の事は企業で働くなら知るべきと考えます。

会社の教育指針にもありますが、私が自ら哲学浸透研修を行い、会社の存在意義、経営哲学、ビジョン、行動指針、人生論、イノベーション概念などを指導し個々の人間力を強化します。「哲学を出前する」と言い、終業時に各店に話しに行ったこともあります。

また当社の一人当たりの人件費は360万円(法定福利費込み)で美容業界の平均を大きく上回っています。しかし、この数字は一般企業としたら当たり前のことでまだまだ少ないと思っています。

退職金制度も当然あります。私がこのように企業化を推し進めるには一言でいうと自分が歩んできたキャリアが影響しています。日本航空時代、自分のやりたい事をサポートしてもらったという感覚を強く持っているので、そういう風に思って頂ける会社を作りたいですし日本航空グループに匹敵する福利厚生を目指しています。

美容業界が変わる為に必要な事国家試験制度の改革と外国人の雇用について解放できないかと思います。 
インバウンドブームで日本語ができる外国人が随分増えています。私は大学院を経営している知人に頼まれ月1~2回外国人にサービスマネジメントを教えていますが、日本で就職したい時に壁になるのが言葉とライセンスです。美容業界で働きたいという若者もいますが、なかなか受け入れられない現状があります。これには雇い側の意識を変えることが必要で、当社では今後前向きに取り組んでいきたいと思います。

また、美容業界を変える最初ステップとして重要な事は、美容業に携わる人財への考え方を変えることではないでしょうか。これは美容業界に限った話ではありませんが、今や透明化の時代になり、雇用環境が良い会社かそうでないか、社会が監視しています。経営者は人を雇うことに覚悟を持たなければなりません。「うちの会社で雇った人は最後まで面倒を見る」そうコミットして頂く経営者が増えることにより美容業界も社会もよくなっていく事でしょう。

FOR OTHERS、WITH OTHERSFOR OTHERS、WITH OTHERSFOR OTHERS、WITH OTHERS「自分以外、他の人(周りにいる人)と一緒に他の人(周りの人)の為に何か成し遂げよう」という意味です。

この一文は「最終的に仕事の目的は社会貢献」という事を表していて、クルーによく話します。これを繰り返し、何事にも応用して、お客様の為にも価値を創り出して頂きたいです。

当社は数年以内の上場を目指しています。上場し社会に広く認められる企業となり、クルーの社会的地位の向上を目指します。またクルーが人生の終末を迎えた時「UNIXで働いて良かった」そう思って頂けるよう、物心両面の幸福を更に追求していきたいと思います。

本社本社〒104-0061
東京都中央区銀座1-16-7
銀座大栄ビル12F
TEL: 03-5524-2281
http://www.unix.co.jp/home

12階本社の会議室は椅子が無くスタンディングインタビュー。
窓が広く景色が一望でき外資系企業の雰囲気です。誌面ではご紹介できないエグゼクティブな人脈も素晴らしく美容業界の価値を高める様高い次元でご尽力頂きたいと思いました。
(「美容師になろう!」編集長 荒井由美)

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